世界の食料自給、世界の穀物等の需要は増加傾向、世界の栄養不足人口は2017年には8億2,100万人で3年連続増加中。
2018/19年度の世界の穀物等の生産量は、小麦は前年度に比べ3.9%減少、7.3億tの見込み。とうもろこしは前年度に比べ2.3%増加の11.0億t。米は前年度に比べ1.3%増加の5.0億tとなる見込み。大豆は前年度に比べ5.8%増加し、3.6億tを予想。
米、大豆の期末在庫率は、前年度に比べ上昇し、それぞれ35.0%、30.8%となる一方、消費量が生産量を上回った小麦、とうもろこしの期末在庫率は、前年度より低下、それぞれ36.5%、27.2%となる見込み。
穀物等の国際価格は、主要生産国での天候不順等で、2008年には小麦と米が、2012年にはとうもろこしと大豆が過去最高水準を記録。その後、世界的なとうもろこし等の豊作や南米での大豆の増産等のため、全般的に低下傾向で推移。
世界の人口は、今後も開発途上国を中心に増加することが見込まれ、2050年には97.7億人になると予測。
世界の栄養不足人口は、2017年には8億2,100万人と3年連続で増加。国連は、国際社会全体の開発目標「持続可能な開発目標」(SDGs)を全会一致で採択しており、その中で、2030年までに世界の栄養不足人口をゼロにする目標を定めている。SDGsの目標達成に向けては、安全で質の高い食料を全ての人に提供でき、栄養面にも配慮した持続可能な農業への転換や気候変動への適応と緩和、災害リスク削減を促進する政策の実施等、各国の積極的な対応が求められている。
農産物の生産においては、気候変動を始め、水資源の制約や土壌劣化等不安定要素が存在し、穀物需給が逼迫するリスクが指摘されている。2018年に公表されたIPCC(気候変動に関する政府間パネル)の特別報告書では、地球温暖化が現在の度合いで続けば、2030年から2052年の間に、産業革命以前の水準からの気温上昇が1.5℃に達する可能性が高いとされている。気温上昇幅が2℃となった場合、1.5℃の場合と比べて、極端な高温が顕著になるとともに、地域によっては強い降雨現象や干ばつが増加するといったリスクが更に高まると予測されている。