持続可能な農業生産のためのIPM。
近年、地球環境の悪化から、「脱炭素」「環境負荷軽減」「持続可能な社会の実現」が人類共通の最重要課題と言われるようになった。
農業分野で環境の負荷を軽減するための方策として「総合的病害虫・雑草防除(IPM)」は重要性を増している。
IPMとは、病害虫の発生状況に応じて、生物的防除である天敵や、物理的防除である粘着板などの防除方法を適切に組み合わせることで、環境への負荷を軽減しつつ、経済的被害がもたらされないレベルにまで病害虫の発生を抑制する防除体系のこと。
2021年に策定された「みどりの食料システム戦略」では、2050年までに化学農薬の使用量をリスク換算で50%低減させるとしている。米欧でも同様な取り組みがされており、輸出を含む販売促進のための農薬使用の制限などが広がっていくと考えられる。同一薬剤の連続使用によって、病害虫に薬剤への抵抗性がつくといった問題も起こっている。また、農家の高齢化により、防除作業の負担軽減も求められている。
IPMでは、従来からある化学農薬や害虫への抵抗性を備えた品種改良に加え、天敵生物や合成フェロモンによる交信撹乱など新たな防除を組み合わせることで、こうした問題を解消しようとしている。
参考リンク:日本植物防疫協会