「薬剤抵抗性対策」が生産現場に普及。
2020年度に都道府県の病害虫防除所などを対象にした調査では、薬剤抵抗性がみられた病害虫・雑草の報告数は全国で1,937件と、前回調査の2016年度より約7割の増加。
複数の農薬を使うローテーション散布や、農薬に頼らず天敵生物などを利用する総合的病害虫・雑草管理(IPM)など、薬剤抵抗性の発達を防ぐ対策が普及してきている。
薬剤抵抗性の発達を防ぐIPM(Integrated Pest Management)には、防虫ネットといった物理的対策や、病害虫に抵抗性のある品種の使用や輪作などの耕種的対策がある。イチゴ産地の栃木県や福岡県、促成ナス産地の高知県などでは、天敵農薬を使用した防除体系の導入も進んでいる。
全国各地で行われている農薬のローテーション散布は、作用性の異なる薬剤を順番に散布することで病害虫に薬剤抵抗性を持たせなくする対策。
和歌山市内のJAでは、2020年度に小松菜のコナガ対策のためローテーションを組み直したところ、生産量が1割増加。また秀品率が上がり、廃棄率も減少した。
防除技術が確立できていない薬剤抵抗性のある病害虫・雑草もある。
キュウリの害虫ミナミキイロアザミウマやトマトのタバココナジラミについては効果の高い薬剤がなく、ネギの害虫ネギアザミウマでは効果の高い薬剤が不明となっている。
これらに対しては、既存の薬剤で対応し、化学農薬に依存しない対策の検討が求められ、IPMなどを取り入れた防除体系の構築が重要となる。
参考リンク:病害虫防除に関する情報(農林水産省)