食料消費の動向、この10年で調理食品が増加。

人口減少、高齢化により国内市場が量的に縮小傾向で推移する中、消費者ニーズは多様化、個別化し、消費総量の減少と食の外部化が一層進展していくことが明らかになった。
単身世帯の1人当たり1カ月間の食費は、減少傾向。世帯別の1人当たり1カ月間の食費は、2人以上の世帯は横ばいで推移。10年前に比べ、家庭で調理する必要のある生鮮食品の支出が減少し、調理食品の支出が増加。
単身世帯の食費は、調理食品や外食の支出額が多いことから2人以上の世帯に比べ高く、2018年は3万8,524円。
食費の内訳は、単身世帯では10年前に比べ外食の支出が減少しているが、60歳を契機に外食の支出が極端に減少する傾向がある。世帯主が60歳以上の単身世帯の割合が10年前に比べて増加していることが要因の一つと考えられる。
2人以上の世帯は、世帯主の年齢が高いほど食費が多い傾向がある。2人以上の世帯を世帯主の年齢別に見ると、世帯主の年齢が高いほど1人当たり1カ月間の食費が多く、2018年は、29歳以下の世帯1万5,993円に対し、70歳以上の世帯は2万7,998円となっている。単身世帯では、世帯主の年齢が低いほど、外食の占める割合が高い。
10年前に比べると、いずれの階層においても生鮮食品は減少し、調理食品が増加。
アンケート調査から、中食が増えた理由として簡便性や料理の内容を重視。簡便なだけではなく、味、メニュー等の面でも多種多様な調理食品が増加してきている。
いずれの階層も生鮮肉と生鮮野菜が食費に占める割合が高い。一方、生鮮魚介は、食の簡便化が進む中で、調理が難しいことや買い置きができないこと等から、どの階層においても消費は減少。
世帯主の年齢別に主要食品の購入単価は、世帯主の年齢が高いほど、高い単価で購入している。特に、生鮮肉のうち牛肉の購入単価は、最も単価の高い70歳以上の階層で393.71円/100g、最も低い29歳以下の階層で230.32円/100gと1.7倍の差がある。生鮮肉に限らず米、パン、生鮮魚介、牛乳、卵等ほとんどの品目でも、世帯主の年齢が高い階層ほど購入単価が高い傾向。
しかし、トマトだけは世帯主の年齢が低い階層の購入単価が高い。
2018年の食費額の上位20位までの品目は、10年前に比べ豚肉が4位から3位、鶏肉が14位から10位、ヨーグルトが25位から16位と順位が上がっている。逆に、米が2位から4位、外食のうち洋食が10位から15位、ビールが11位から20位へ順位が下がっている。
特定保健用食品となっているヨーグルトや高たんぱく・低脂肪といった特性を持つといわれる鶏肉は、健康志向の高まりから支出が増加していると考えられる。順位を大きく下げたビールは、低価格の発泡酒やビール風アルコール飲料の登場が影響したと考えられる。