収量2割増の小麦新品種が誕生。日本初のハイブリッド小麦。

福井県立大学の研究チームは、収穫量が従来の品種より2割増える小麦を開発した。異なる品種を組み合わせて収穫量を増やす「ハイブリッド小麦」で、日本では初めて。今後は企業などと組み、大規模な栽培実験に着手する。
ハイブリッド小麦は花粉をつけない品種と別の花粉をつける品種を掛け合わせて作る。一般的にハイブリッド品種は環境の変化に強く、収穫量も多くなるという。世界では1%程度がハイブリッド小麦だが、花粉をつけないようにするために農薬を使うなどの課題があった。
研究チームはまず、1日当たりの日照時間が15時間以上だと花粉をつけない小麦を開発。母親となる(花粉を受粉する)小麦の周囲にこの花粉をつけない小麦を植えて栽培することで、雄しべができない母親側の小麦を父親側の花粉で受粉させるという世界的にもユニークな手法を用い、ハイブリッド小麦の種子を得ることに成功。この種子は本州で秋に種をまく「秋まき栽培」においては、日照時間が短く自殖するため、ハイブリッド小麦として栽培することができる。
また、このハイブリッド小麦は、同じく福井県立大学が開発した福井県で栽培可能な小麦「ふくこむぎ」同様に収穫時期が早く、収量も同品種よりも20%以上多収であることも分かった。
福井などで行われている日照時間の短い秋まき栽培と、北海道などでの日照時間の長い春まき栽培を利用して、複数の品種を掛け合わせる。国内での栽培に適しており、小麦の自給率向上に寄与する可能性がある。