2050年の食料需要、1.7倍と予測。
農水省は、2010年から2050年にかけて世界の平均気温が2℃程度上昇するという気候変動を前提にした「2050年における世界の食料需給見通し」を公表。
その予測によると、オセアニア、中南米、アジアでは農地面積が増加するが、北米、アフリカでは農地面積が減少するなど、農地の分布が変化する。世界の農地面積は 0.73億ha拡大し、16.11 億haとなる。また、人口増加と経済発展により2050年の世界の食料需要量は2010年比1.7倍となる。特に、低所得国の需要量の伸びが大きくなる。
食料需要の増加に対応して、穀物の生産量は2010年比1.7倍、油糧種子は1.6倍に増加する一方、農地の制約から各作物の収穫面積の伸びは小さく、生産量の増加は主に単収の増加による。
日本が輸入している主要農作物の輸入先である北米、中南米、オセアニア、並びに欧州では、経済発展に伴う農業投資の増加により生産量、純輸出量がさらに増加。一方、アフリカ、中東では、経済発展に伴う農業投資の増大により主要作物の生産量は増加するものの、人口増加等により需要量の増加が生産量の増加を上回り、純輸入量が大幅に増加する。アジアでは米の生産量、輸出量は増加するが、食生活の多様化等に伴い小麦、大豆の需要量が増大し輸入量が増加する。
多くの農産物を輸入する日本としては、国内生産の増大を図り、日頃から世界の農作物の需給状況や見通し等の情報を幅広く収集する必要がある。また、アフリカなど食料輸入の増加が見通される開発途上の国々に対して、生産性向上に向けた技術支援を継続的に行い、世界の食料安全保障に貢献することが重要であるとまとめている。