世界的な食料不足の懸念が強まる。

ロシアによるウクライナ侵攻で、小麦相場は過去最高値に急騰。
低所得国では社会不安を招きかねない状況に陥っている。

ロシアとウクライナは主要な穀物輸出国で、世界の小麦輸出の約3割を担っていた。
両国の主要な小麦輸出港は黒海に集中しているが、周辺では戦闘が続いている。
これを受け、国際指標のシカゴ小麦相場は14年ぶりに過去最高値を更新。戦争の継続でウクライナの農繁期の農作業に支障が出れば、供給不安は長期化する。
食料品の急騰は、低所得層に最も打撃を加える。食料価格が1%上昇するごとに、1,000万人が極度な貧困に陥るとされる。このため、国際通貨基金(IMF)や世界銀行などは共同声明を発表。低所得国に緊急の食料供給や金融支援だけでなく、農業生産拡大に向けた措置で国際社会が協調するよう呼びかけた。
中でもサハラ砂漠以南のアフリカ(サブサハラ)諸国は、小麦供給の約85%を輸入に頼っている。うち3分の1はロシア産、ウクライナ産が占めており、アフリカ開発銀行は「食糧生産でアフリカを支援しなければ、容易に危機に陥る」と警鐘を鳴らした。

参考リンク:共同声明(世界銀行)