病虫害症状をスマホ診断。撮影、即座に判明。まずはキュウリから。

農研機構など30機関が参画する「病害虫AI診断コンソーシアム」は、農林水産省の戦略的プロジェクト研究推進事業「人工知能未来農業創造プロジェクト」において、AIを活用した病害虫診断技術の開発に取り組んでいる。東京ビッグサイトで開催された「アグリ・ビジネス・ジャパン2019」では、プロジェクトで収集した病害虫被害画像を管理するためのデータベースと、これらの画像をもとに開発したAIによる病害虫診断アプリを展示、来場者が手にとって試した。
「病害虫AI診断コンソーシアム」はこれまでに、トマト、キュウリ、イチゴ、ナスに被害をもたらす病害虫を24府県で調査し、主要な病害虫種についてそれぞれ約10万枚、8万枚、8万枚、7万5千枚の画像を収集。また、これらのデータを、被害の程度や発生部位等の付帯情報と合わせてデータベース化し、AIによる機械学習を実施できる基盤を整えた。さらに、主要病害虫を含む合計5,047種の生物の標本コードや画像、遺伝子配列等の情報を収集し、カタログデータベース基盤の整備を完了した。
5種類の土壌病害を対象に、平成30年度までに計1,500点以上の各土壌サンプルに関する土壌微生物のDNA増幅パターンや遺伝子情報に加え、土壌理化学性、当該年の栽培作物の発病程度、耕種履歴概要、肥料・農薬使用履歴、生産者の圃場管理等の各種情報を収集・整理し、AI開発における機械学習のためのデータとして活用している。また、根こぶ病を対象としてスマートフォン上で利用できるアプリケーションを開発した。
最終的には、「AIを活用した、5種類以上の主要な土壌病害の診断と対策情報等を提供するシステムの構築を目指している。現在までに、根こぶ病を対象に予測器を開発した。これらは、今後他の4病害に対するAI開発の水平展開を図るためのキーテクノロジーであり、その開発が予定どおり行われたことから、今後は他の4種類の病害の発病予測器の開発が可能となる。