駆除イノシシから高級革カバン、里山守り農家の収入に。

山深い山間に位置する「五色の里」(香川県東かがわ市)は、里山の気候を生かして栗、自然薯を栽培するほか、駆除する年間70頭のイノシシを利用したジビエ料理やイノシシ肉販売が人気を博しているが、最近はイノシシの皮で高級革小物を製造し、農家の収入に変える取り組みを進めている。
五色の里がある五名地区では1990年代からイノシシが畑を荒らすようになり、農作物被害が深刻化した。15年前からイノシシの駆除を始め、地元の猟師と共に今では年間70頭を捕獲する。以前は捨てていたイノシシの皮を五色の里が買い取り、2018年からビジネスバッグや財布など革小物の販売を始めた。
イノシシ革は毛穴が大きく、野性味のある風合いと通気性が特徴で、牛革と比べても軽くて柔らかい。注目は価格帯。ビジネスバッグで税込み16万5千円とかなりの高額。イノシシの駆除は20カ所に仕掛けを設置し、毎日確認しに行かなければならないため非常に手間がかかる仕事なので、少しでも農家に利益を還元できる価格設定にしたいという思いが込められている。皮のなめしは兵庫県の業者に依頼しているが、イノシシ皮をなめす技術やノウハウが一般に蓄積されていないことも高価格になる要因。
高松市の革小物店が製品に仕上げているが、ネット通販のほか、東かがわ市のふるさと納税の返礼品にもなっている。受注生産のため、ビジネスバッグの納品には約3カ月かかる。ネット通販での注文は首都圏や北海道の富裕層からが多いという。8月には高松空港にオープンした土産物屋でも扱うなど販路を広げる。