ハウスの防除は、寝ている間に。

高濃度の農薬を霧状にして自動散布する「常温煙霧」は、散布の労力や時間を大幅に削減することが可能。
散布の時間を夕方から夜間にすることで、翌朝すぐにハウスでの作業ができるという利点もあるが、まだ使用できる農薬の種類が少ない。

農薬散布は通常、畝間ごとに1列ずつ専用の防除機を引きながら噴霧する。常温煙霧では農薬をタンクに注ぎ、スイッチを押すだけ。これまで90分かかっていた作業が15分で済む。
常温煙霧法は、キュウリのハウスを中心に1980年代後半に導入が始まったが、施設園芸が盛んな高知県では使用できる登録剤が少なく、また防除効果が不安定だったため、生産現場に普及しなかった。2019年に農水省が高濃度農薬の常温煙霧やドローン散布などへの適用拡大に必要な試験を軽減。あわせて2018年から拡散性の検証が行われ、2020年にはその実用性が確認された。
使用できる農薬はキュウリで16剤、他ナス、ブドウ、トマト、イチゴなどの登録があるが、まだ少ない。農薬メーカーは登録拡大に動いている。また、県では2022年度から常温煙霧装置の導入費用を助成する事業を開始した。

参考リンク:高知県農業振興部