外国人旅行者の地方部への分散を背景に、政府は農泊の推進にも注力。

農業白書には「農泊」について収録されている。
農泊とは、農山漁村の農家民宿や古民家等を活用した宿泊施設に滞在して、日本ならではの伝統的な生活体験と地域の人々との交流を楽しむ農山漁村滞在型旅行のこと。増加が続く訪日外国人旅行者を農山漁村に呼び込んで、交流しながら地域の収入向上につなげようとする動きが進んでいる。
平成30(2018)年の訪日外国人旅行者は、年間では堅調に増加し、旅行者数3,119万人となり、過去最高を記録した。旅行消費額は4兆5,189億円、地方部における延べ宿泊者数は3,636万人泊となり、いずれも過去最高を記録。
旅行消費額のうち、飲食費は9,783億円、買物代のうち食料品(菓子類、酒類、生鮮農産物等)は3,314億円となった。外国人延べ宿泊者数に占める地方部の割合はすでに4割を超えており、過去5年間の延べ宿泊者数の増加率は青森県、山形県、山梨県、岡山県、香川県、佐賀県で4倍以上となった。
訪日外国人旅行者の7%前後が農山漁村体験等を行っているとの調査結果もあり、訪日外国人旅行者の地方部への分散とともに、農山漁村での体験を行う訪日外国人旅行者が増えた。
日本食・食文化への訪日外国人旅行者の需要を農山漁村に呼び込み、訪日外国人の更なる増加、農林水産物・食品の輸出増大につなげていくことが重要と、政府は農山漁村振興交付金による滞在施設や体験施設など、ハード面の支援を全国で352地域に行っている。
地域の食と、それを生み出す農林水産業を核に訪日外国人旅行者を中心とした観光客を誘致する取組である「セイバージャパン(農泊 食文化海外発信地域)」として地域を認定し、地域のブランド化、農泊の普及、情報発信などソフト面での支援にも積極的だ。
子供の農山漁村体験は、生命と自然を尊重する精神や環境保全に寄与する態度を養い、人と人とのつながりの大切さを認識させ、農林漁業の意義を理解させると評価、今後、子供の農山漁村体験の取組も一層推進するとした。