気象変動など、政府が農業生産の不安定要素を確認。
「食料・農業・農村白書」では農業においては、気候変動を始め、水資源の制約や土壌劣化等の不安定要素が存在し、穀物需給が崩れるリスクが指摘された。
IPCCの特別報告書では、地球温暖化が現在の度合いで続けば、地球の平均気温は2030年から2052年の間に、200年前の水準より気温上昇が1.5℃上がる可能性が高いとされていること。さらに、気温上昇幅が2℃となった場合、1.5℃の場合と比べて、極端な高温が顕著になるとともに、地域によっては強い降雨現象や干ばつが増加するといったリスクが更に高まると予測。
気候変動の影響による生産減少や、台風や豪雨、地震等の自然災害による農産物への被害や輸送障害等、食料の安定的な供給を阻害するリスク要因があるため、農水省では、不測の事態に備えて食料の安定的な供給に関するリスクを分析し、2018年度は、現状において食料の安定的な供給に影響を及ぼす可能性はないと評価した。
さらに、国内で頻発している自然災害・異常気象を重点的に分析し、食料の安定供給の停滞防止のための対応策がおおむね実施されているとしたが、一方で、営農施設の損傷、電気・ガス・水道の停止、家庭備蓄の欠如等については対応策の強化を図る必要があるとした。
国内における不作や輸入の大幅な減少等の不測の事態が生じた場合には、その影響を軽減するため「緊急事態食料安全保障指針」に基づき対応する。
政府は、不測の事態に備えて、米については、政府備蓄米の適正備蓄水準に基づき100万t程度を、食糧用小麦については外国産食糧用小麦の需要量の2.3カ月分を、飼料穀物については配合飼料メーカー等において、とうもろこし等の飼料穀物85万t程度をそれぞれ備蓄していることを報告。