気候変動が健康被害を加速させると警鐘。

国連気候変動枠組条約第27回締約国会議(COP27)でWHOは「気候変動は世界中で何百万人もの人々を病気にし、2030年までに年間約25万人の追加死亡を引き起こす」と警鐘を鳴らした。

地球の気温上昇は、強烈な熱波や旱魃、壊滅的な洪水、ますます強力になる台風やハリケーンといった熱帯性暴風雨をもたらす異常気象を引き起こしている。
エチオピアやソマリア、ケニアが位置する「アフリカの角」では、ここ数十年で最悪の旱魃に見舞われ、3,100万人が深刻な飢餓に、1,100万人の子供が深刻な栄養失調に直面している。パキスタンの洪水では3,300万人以上が被災し、中央ヨーロッパでも洪水や熱波による被害が出ている。そしてこれらが重なることで、人間の健康への影響は増大し、さらに加速される可能性がある。農業や水・衛生などを除いた、健康への直接的な被害コストは、2030年までに年間20〜40億ドルになると推定されている。
WHOは、健康上のメリットを同時にもたらす気候変動緩和政策を推進する必要があると各国に働きかけている。クリーンエネルギーへの投資は、投資額の2倍以上の健康上の利益をもたらす。たとえば、自動車の排気ガス規制を厳しくすることで、2050年までに気温を0.5度抑え、年間240万人の命を救うと算出されており、化石燃料不拡散条約の創設を呼びかけている。

参考リンク:World Health Organization(※英語版)