「水稲再生二期作」で10aあたりの収量1.4tを達成。
温暖化条件下で威力を発揮する「水稲再生二期作」。1回目の収穫時期や高さを工夫することで、平均収量の約3倍に当たる1.47t/10aの粗玄米収量(精玄米収量で1.44t/10a)に達した。
国内で栽培されている水稲は多年生の性質を持つ。このため、収穫後に発生する「ひこばえ」を栽培して2回目の稲を収穫する再生二期作は、通常の栽培に比べ収量が増える。
再生二期作では2回目稲の収穫までの間に十分な気温が必要だが、今回農研機構が試験を実施した九州地域は、国内の他の地域に比べ春や秋の気温が高く水稲の生育可能期間が長い。更に近年の地球温暖化で春や秋の気温も上昇しており、今後育成可能期間が一層長くなると予想。
再生二期作の試験では、多収品種「べこあおば」と「北陸193号」を交配した多収系統を栽培。8月中旬に1回目を地際から50cmの高さで収穫し、2回目は11月上旬に収穫。結果、1回目を高刈りすることで1回目・2回目の合計で多収になることが判明。また、生育期間を通じて気温が高く日射量が多かった2018年では、生産現場の平均収量(福岡県で0.5t/10a)のおよそ3倍にあたる1.47t/10aの粗玄米収量を得た。
今後は、再生二期作に適した品種の選定や施肥技術の開発・現地実証試験を行い、加工用米や業務用米の低コスト生産技術として九州地域を中心に普及させていく。また、既存のコンバインでは地際から50cmの高さで収穫することが困難なため、コンバインの改良が必要になるとしている。
参考リンク:農研機構