イネの発達・登熟に、「細胞内自食作用(オートファジー)」の存在が不可欠であることを発見。
生物の細胞内でタンパク質や脂質を分解する、栄養リサイクルの仕組みであるオートファジー(細胞内自食作用)。近年、多くの生物の発生や分化の様々な段階で重要な役割を担うことが判明しているが、植物の種子形成における役割は未解明だった。これまでイネの花粉形成などでオートファジーの重要性を発見してきた東京理科大学をはじめとした共同研究チームは、イネ種子の発達・登熟にオートファジーの存在が不可欠であることを発見。
コメの収量や品質に直接結びつくイネの種子形成・登熟過程の研究は活発に行われているがそのメカニズムは複雑なため、未解明の部分が多い。これまで多くの生物でオートファジーの能力が欠けると、ライフサイクルの様々な段階で大きな影響が見られ、死に至る場合もあることが報告されていたが、イネもオートファジー能力が欠損すると種子が白濁し、品質が低下したくず米と同様になることが判明。また、種子が小さくなり、糖やデンプンの代謝に異常が生じることも発見。将来的には、オートファジーを制御することでコメの品質低下防止などの技術開発につながる可能性が期待される。