コシヒカリ遺伝子から、高CO2下で多収になるイネを開発。

イネの穂数を増加させる新規遺伝子MP3を、「コシヒカリ」からはじめて同定。
多収品種「タカナリ」のMP3と入れ替えたイネを開発。将来予想される高CO2条件で試験栽培したところ、元品種より多収になることが確認された。

イネには、穂を多くすることで収量を増やす「穂数型」と、ひとつの穂に多くの籾をつける「穂重型」がある。作付面積全国1位の「コシヒカリ」は穂数型で、高い収量性を持つ「タカナリ」などの多収品種は穂重型に分類される。
穂重型の遺伝子は特定が進んでいるが、一穂籾数を今以上に増やすことは困難。そのため更なる多収化を目指すには、穂重型の穂数を増やす必要がある。
今回の研究ではこれまで特定されていなかったコシヒカリの穂数を増やす遺伝子MP3（MORE PANICLES 3）を、マップベースクローニングという手法を用いて特定。これをタカナリに組み込んだイネ「MP3置換タカナリ」を開発。一穂籾数を維持しながら穂数を20〜30％増加させ、総籾数も20％増加させることができた。
MP3置換タカナリの将来予測される高CO2濃度での栽培実験も実施。大気CO2濃度を現在より約200ppm高い約580ppmにした環境で栽培したところ、1haあたりの玄米収量が元のタカナリの8.1tに対し8.6tと約6％多収となった。また、通常のCO2濃度では明確な差がみられず、高CO2下で多収になることが確認された。

参考リンク：プレスリリース（国際農研）