酒造好適米の独自品種、米産地で続々開発。
日本酒の国内外での販路拡大にともない、全国の米産地で酒造好適米を独自開発する動きが活発。直近2年で農水省が登録した「産地品種銘柄」のうち、各県が育成した酒造好適米は7品種。
1.秋田県「一穂積」は、気象条件から山田錦や五百万石の生産が難しい秋田県で、これらの品種特徴を持ち、県内生産に適する品種として開発。他に21年には新品種「百田」もデビューする予定。
2.福島県「福乃香」は、「芳醇・淡麗・旨口」を追求し、大吟醸酒に向く新品種として開発。アルコール収得量が多く、冷害に強い。
3.石川県「百万石乃白」は、従来品種より精米時に割れにくく、たんぱく質含有量が少ないため雑味が少なくすっきりとした味わいに仕上がる、大吟醸酒への加工適性を高めた品種。
4.福井県「さかほまれ」は、大吟醸酒用米として開発。山田錦と越の雫を交配したもので、倒伏性、脱粒性、穂発芽性が改善されている。
5.兵庫県「Hyogo Sake 85」は、地球温暖化の影響で白未粒熟の発生が多くなってきた既存品種に変わるべく開発。病気抵抗にも強い。本品種を使用した日本酒の輸出を目指すため、品種名をローマ字表記に。
6.島根県「縁の舞」は、大吟醸などの醸造に対応できる酒米を目標に開発。山田錦と比較して玄米が大粒で耐倒伏性、収量に優る。
7.高知県「土佐麗」は、県内既存種の「風鳴子」の、高度精白時の砕米が多いという難点を改善すべく開発。極早生で穂ばらみ期の耐冷性が強く、収量性が高い。
近年、日本酒の生産量は減少傾向にあるが、こだわりの酒造りに必要な精米基準を満たした「特定名称酒」は増加傾向にあり、また輸出も増加している。