直播栽培で拡大する「雑草イネ」、移植栽培圃場でも蔓延。

圃場に自生し、収穫物に赤米などとして混入することで減収や品質低下の原因となる「雑草イネ」。直播栽培をする地域では世界的に発生面積が拡大している。これまでは直播栽培の水田に限定されると考えられてきたが、直播を全く行なっていない移植栽培の圃場でも多く発生している。

雑草イネは、植えた稲より草丈が異なる、出穂した穂の様子が違う、籾が落ちやすいなどの特徴がある。また、籾の色が黒い、玄米に色がついているといった特徴も持つ。
圃場に落ちた籾により雑草イネは増え、3〜4年で田が雑草イネだらけになることもある。
雑草イネは、栽培品種と同じイネなので除草剤が効かず、手作業での除草が必要となる。この労力を軽減するため、農研機構は防除マニュアルを作成、公開している。
雑草イネが発生した圃場では、収穫後に石灰窒素散布や蒸気処理で表層の種子を死滅させる、耕起や代かきで埋め込む、非選択性除草剤で枯死させるなどの手段が有効となる。また、蔓延している圃場の場合には、大豆など畑作物への転換を検討する必要がある。
これら徹底した防除を3〜4年続けて行うことで、雑草イネを圃場からなくすことができる。

参考リンク:雑草イネ・漏生イネ防除技術マニュアル(農研機構)