害虫体内の微生物を利用した、新しい防除法。
野菜や花きの害虫・マメハモグリバエの体内にすむ共生細菌「ボルバキア」を利用して卵の孵化を抑制、害虫を減らす新しい防除法が、静岡大学と岐阜大学の研究グループによって開発された。
ボルバキアは約4割の昆虫の体内にすむとされ、宿主に対してさまざまな操作を行う。微生物間では化学物質を用いてコミュニケーション(クオラムセンシング)をしており、その結果細胞分裂を起こして増殖する場合がある。
ボルバキアに感染したマメハモグリバエの雄と、感染していない雌から生まれる卵は孵化しにくくなる(細胞質不飽和)ことが知られている。この性質に着目し、ボルバキアの情報交換を促す試薬(クオラムセンシング誘導剤)を、マメハモグリバエが食害する植物に散布したところ、マメハモグリバエ体内のボルバキアが約5倍に増加。こうして体内のボルバキアが増加した雄と、感染していない雌を交配したところ、生まれた卵のほとんどが孵化しなかった。
試薬は研究目的で使用されるもので、毒性はなく、農薬登録されていないもの。
今後は、他の農業害虫にも同様の実験を行い、同様の効果があるかを調べていく。
参考リンク:プレスリリース(静岡大学)