生産者の高級ブランド米への志向が根強い。
米穀安定供給確保支援機構公表の水稲の品種別作付動向は、2018年産うるち米(醸造用米、もち米を除く)において、全国で最も作付が多かった品種は「コシヒカリ」(作付割合35.0%)、2位「ひとめぼれ」(同9.2%)、3位「ヒノヒカリ」(同8.6%)、4位「あきたこまち」(同6.8%)、5位「ななつぼし」(同3.4%)、上位5品種の順位変動はなかった。
上位10品種のうち、作付割合が前年産より減少したのは、「コシヒカリ」、「ひとめぼれ」、「ヒノヒカリ」等8品種、増加したのは「まっしぐら」1品種、上位10品種の順位の変動もなかった。
主食用米の作付割合上位10品種が全体に占める割合は73.1%(前年74.8%)、上位20品種は82.6%(前年84.1%)だった。
最近のブランド米続出は戦後「第3の波」とも呼ばれる。2015~18年に登場した主な10銘柄について各県に調査したところ、2018年産の生産量は前年比2.3倍の5万t強になる見通し。新潟県の「新之助」などは前年比2.2倍の1万1,000tを見込む。小売価格は5kg約3,000円で、新潟魚沼産コシヒカリとほぼ同等。
第3の波の契機は減反政策の終焉、各県は独自路線を模索し、登録銘柄は10年前から5割増の795銘柄となった。
新銘柄は高価格帯が目立つ。コメ全体の作付面積は減反が始まる前の1970年に比べて半減した。農家は面積が減るなかで所得を維持しようと高単価の銘柄を重視した結果。
新潟県の「新之助」ほか、5kg3,000円程度の最高級に設定する福井県の「いちほまれ」、岩手県の「金色の風」、宮城県の「だて正夢」、山形県の「雪若丸」など今回の新銘柄群は、県によっては年間3億円近い宣伝費をかけて一気に認知度向上を狙う。ブランド米“群雄割拠”の状態となっている中、主な10銘柄の生産量は前年比で2倍に増える見込み。各県の自主性が試されているが、消費者の安価なコメ志向も根強く、高価格を狙う戦略の先は不明。