ハクサイの開花制御メカニズムを解明。
ハクサイ等のアブラナ科葉菜類は、花芽をつけると商品価値が損なわれることから、栽培時に低温にさらされても花成誘導されにくい品種 (晩抽性品種) への需要が高かったが、神戸大学、新潟大学などの共同研究グループはハクサイの開花を制御するメカニズムを解明した。この成果によって、花が咲きにくい品種育成の開発への新しい門戸が開いた。
研究ではハクサイにおいて、一定期間の低温処理によって発現が誘導されるRNAのうち、長鎖非コードRNA(lncRNA)を網羅的に同定することに成功。同定したlncRNAの中には、同じアブラナ科のシロイヌナズナ (モデル植物)の開花制御を行うlncRNAと類似性がなく、ハクサイの春化メカニズムには独自の分子メカニズムが存在する可能性が示された。ハクサイの春化の鍵遺伝子として知られているFLOWERING LOCUS C(FLC)の発現が抑制される際に、lncRNAの関与は見られず、ハクサイが従来のモデル植物で提唱されているメカニズムとは異なる制御を受けている可能性も示された。