AI、GPSを活用した収穫、運搬、積載など野菜重労働の自動化に期待。

日本各地で立命館大学、農研機構、JA、農機メーカーなどの産官学連携で、野菜や果樹農業の自動化・ロボット化に向けた研究開発が進んでいる。高齢化が進み深刻化した日本の農業の労働力不足に対応した取り組み。
立命館大学と北海道富良野市のオサダ農機はキャベツの自動収穫機を開発。一般的な乗用型収穫機には刈り取り部の位置調節にノウハウが必要だが、自動収穫機は、刈り取り部上方のカメラでキャベツを認識し、人工知能(AI)で場所を検出するため、農機が刈り取り部の位置を自動調節する。刈り取り部近くに付けたカメラで高さや位置を把握し、自動で1球ずつ正確に刈り取る。2023年度までの実用化を目指している。
自動運搬台車と収穫機が連携した、コンテナの自動運搬も農家の期待を集めている。収穫機はコンテナが満載になると自動で停止する。衛星利用測位システム(GPS)などの位置情報を頼りに、後方に待機していた運搬台車は自動で収穫機に接近し、収穫機後方にあるカメラの画像を元に傾きや距離を調整して収穫機と接続。キャベツの入ったコンテナと空のコンテナを入れ替え、トラックの待機場に自動走行するシステム。
立命館大学と豊田自動織機が開発中の自動フォークリフトも、注目されている。自動車の自動運転技術を応用し、複数のレーザーセンサーによって障害物などを把握するのが特徴。収穫物の入ったコンテナに近づいた無人のフォークリフトが、コンテナに貼り付けたマーク画像を頼りにフォークを差し込んで持ち上げ、トラックの荷台へ積み込む技術だ。
同大学と北海道訓子府町の訓子府機械工業が共同開発を進めているタマネギの自動収穫と自動伴走積載も実証試験中だ。2023年度の実用化を目標にする。自動収穫機に取り付けたカメラの画像を元にAIでタマネギを探し出して収穫する。GPSや基地局を使った正確な位置情報を基に、コンテナ台車を引くトラクタが自動で伴走。収穫と同時に、ベルトコンベヤーでコンテナに積み込む。将来は、土くれや雑草などの自動除去機能も検討している。
さらに最近は果樹園を自在に動き回り、草刈りや農薬散布、収穫までを完全無人で行う自動作業用機械の開発も進んでいる。デコボコの地面、果樹が林立する中を倒れたりぶつかったりせずに移動する操舵技術や、果実をスムーズ、かつスピーディにもぎ取る「人間技」を機械で実用化するという。
キャベツ畑から果樹園、草刈りから収穫まで、高齢化が進む日本の農業の数々の難点を解決する、実践的なロボット技術の開発が続いている。