生産費用を価格に反映させる「適正取引」の推進 ~食料・農業・農村基本法の見直し~

「食料・農業・農村基本法」の見直しが行われている。
その中で農畜産物の生産コストを価格に反映させる「適正取引」を推進する仕組みづくりの検討。

今年は食料品の値上げが話題になっているが、ここ20年ほどはデフレ経済の中、農産物や食品の価格はほとんど上がらない状況が続いた。一方、生産資材や燃油などは高騰し、コストの上昇が農業経営を圧迫している。
円滑な価格転嫁を進めるためには、価格に反映するコストの見積りが、誰しもが納得できる制度設計が必要となる。
参考になるのが、2021年にフランスで公布された「エガリム(Egalim)2法」。同法では、農業者と最初の購入者間での書面での契約締結の義務化、価格決定の計算式や期間を契約に含めることの義務付けなど、価格決定でのコスト指標を考慮するよう定められている。コスト指標は、品目別に生産から流通、販売まで関係者が集まる組織で作られる。
商習慣や取引実態が異なる日本で同様の法整備をする場合、品目ごとに生産から小売まで巻き込んだコスト指標作りの組織が作れるかが関門となる。最初は生産者団体とメーカーによる価格交渉が定着している牛乳・乳製品での検討を進めていく。

参考リンク:食料・農業・農村基本法(農林水産省)