ナスの単為結果、ホルモン処理負担軽減。
受粉せずに実を結ぶナスの「単為結果」。
2017年にその仕組みが特許登録されて以降、単為結果性品種の栽培が増えている。
ナスの栽培では、気温が高くなる夏場や日照不足になりやすい冬場に、受粉や果実の肥大が妨げられ、収量低下が危惧される。これを防ぐためには、植物ホルモン剤を花に噴霧し、人工的に受粉・受精状態にさせるホルモン処理が必要となるが、労力の負担が大きい。
植物には、受粉しなくても果実が大きくなる「単為結果性」という性質を持つものがある。農研機構とタキイ種苗の研究グループは、単為結果の起こる仕組みを解明。単為結果性のナス品種を育成。
通常のナスでは、酵素の働きで受粉前には低い状態に抑えられている子房内の植物ホルモン「オーキシン」が、受粉後に増加することで果実が大きくなる。単為結果性品種では、この酵素の働きが失われており、受粉していない状態でもオーキシンが高濃度で蓄積することで果実が大きくなる。
この仕組みを利用して育成された単為結果性のナス品種は、着果促進剤を使用しなくても通常の品種と収量は変わらず、省力化や生産の安定化につながることから、普及が進んでいる。
参考リンク:研究成果情報(農研機構)