トビイロウンカ、九州以外の被害が拡大。
これまで九州地方での発生が多かったイネの害虫「トビイロウンカ」。
近年は中国、近畿、東海地方での被害が拡大。全国的に被害が増加傾向にある。
トビイロウンカは6月下旬〜7月上旬に中国大陸から飛来し、分げつ期のイネの株元に産卵。
幼虫はイネを吸汁し成長。その次の世代が9月上旬に大量増殖しイネを枯死させる。
被害が急増している東海地方(岐阜県、静岡県、愛知県、三重県)は、2018年に5,000ha未満だった被害面積が2020年には1万haを超えた。2022年にトビイロウンカ注意報が出た3県のうち2県は岐阜県、愛知県だった。近畿地方は2018年に5,110haだったものが2020年には2万1,000haまで拡大した。
東海地方に被害が拡大したのは、トビイロウンカを運ぶ下層ジェット気流が強く、東海地方にまで風が延びたためとみられる。
トビイロウンカの防除には、農薬を育苗箱に施用する「箱施用」と田に使用する「本田施用」がある。トビイロウンカ発生は年によって大きく変わる。2020年には大発生で西日本を中心に被害が広がった。2021年は飛来数が少なく2022年は平年並みだったが、2020年を踏まえ、効果の高い箱施用剤の普及が進んだことと、適切な時期の本田施用が行われたために発生が抑えられたとみられる。被害のあった地域には、今年も対策の徹底が呼びかけられている。
参考リンク:病害虫防除に関する情報(農林水産省)