超音波の振動で害虫を撃退する。

野菜や花きを加害し、多くの化学農薬に対し耐性を持つ害虫「タバココナジラミ」「ワタアブラムシ」に対し、超音波を用いた振動を与えることで作物から追い払う新たな防除法を開発。

超音波を集束させ、離れた位置から触覚刺激などの振動を与える「超音波集束装置」を用い、インゲンマメの葉裏についたタバココナジラミの成虫に対し振動を1分間与えたところ、1〜480Hzの周波数でおよそ60%の成虫が葉から離脱した。離脱までにかかる時間と飛翔方向を調べると、振動を与え始めてから5秒以内に半数以上の成虫が離脱。また、80%以上が下方向に飛翔した。
ナスの葉裏についたアブラムシでは、30Hzの周波数で有翅成虫の25%、無翅成虫の14%が離脱した。また、超音波の振動を長時間(実験では1日あたり4時間)与えると、タバココナジラミの産卵数が約54%減少し、産卵抑制効果があることも判明。
超音波集束装置の出力が可能な範囲は縦50cm×横50cm×奥行き50cmの狭い範囲に限られるため、実用化に向けてはハウス内を移動させて利用できる装置の開発と、離脱した害虫を粘着板や吸引器で回収する方法を検討する。今後は他の害虫にも効果があるかも検証していく。

参考リンク:プレスリリース(農研機構)