世界の農業先進国の歴史と現在 スイス(3)ベンチャー企業が収穫物ロス削減へ有機防カビ剤を開発。
スイスの「アグロサステイン」は、化学農薬を使わない、国際特許を取得した有機物による防除法で、病原性カビへの対策を図っている。
植物病の主な原因であるカビは毎年、世界中で推定約23兆円の農産物の損害を引き起こしており、中でも灰色カビ病は収穫後に進行することの多い植物病で、青果の卸売業者や小売業者は約7兆円の莫大な損失や食品ロスを被っている。
ベンチャー企業創業者が学生の間に特定した、数種の病原性カビの成長を抑制できる「アグロシェルフ・プラス」と名付けられた有機化合物を使って、さまざまな果物や野菜の保存期間を延ばそうとしている。
米国を始め、多くの国では収穫後の農産物に合成殺虫剤を用いることは許可されているが、有機農業の最先端を行くスイスでは禁止されている。持続可能な農業を目指す「アグロサステイン」は「アグロシェルフ・プラス」でこの農産物のロスを減らすことに取り組んでいる。
2021年を目途に最初の製品を市場に出すために、次の資金調達も近々予定されており、スイス政府もその潜在能力に注目している。