牛肉の「赤身」と「しもふり」、消費者の認識と流通実態に隔たり。
国産牛肉では、脂肪交雑(さし)の多い「しもふり」肉ほど高値で取引されるが、さしの少ない「赤身」肉は、好む消費者が一定数存在するにもかかわらず明確な国内基準がない。赤身肉の評価基準確立に向け、一般消費者が認識する赤身肉の基準を調査した。
黒毛和種、乳用種、輸入牛を同サイズ(縦50mm×横40mm×厚さ5mm)にスライスして撮影した画像を、40人の消費者にみせ、それぞれが「赤身型」「しもふり型」のどちらと判定するかを調べた。
脂肪含量では、14.1%を境界とし、それ以上の脂肪含量がある肉が「しもふり型」と認識された。
調査の結果から、「確実に赤身型」であると判定されるには、脂肪含量が11.6%を下回る必要があり、同じく「確実にしもふり型」と判定されるには14.6%を上回る必要がある。
日本食品標準成分表では「リブロース」「赤肉」の脂肪含量は、和牛40.0%、乳用牛17.8%、交雑牛32.3%、輸入牛9.8%となっている。調査の結果と照らし合わせると、輸入牛以外は「赤身型とは言えない」と消費者が判定することになる。熊本の褐毛和種など赤身を強調した肉でも10〜30%程度の脂肪含量が要求されるため、消費者からは「しもふり型」と認識される可能性が高い。
消費者の認識とのギャップが、赤身肉の価格形成に反映されない要因となっていると考えられ、今後は生産・流通側の判定基準を明確にし、その違いを検証していく。
参考リンク:農畜産業振興機構