日本の15年間の窒素収支を解明。

2000年から2015年までの15年間に、日本の全ての人間活動と環境を対象にした窒素収支が解明され、待機や水域への窒素排出の実態が明らかになった。

大気の8割を占める窒素からは、アンモニアや硝酸といった肥料や工業原料となる反応性窒素が人工的に合成されている。また、アミノ酸やタンパク質などの有機物も反応性窒素の一種。人間の活動により、多くの反応性窒素は廃棄窒素として環境へ排出され、オゾン層破壊や大気汚染、水質汚染などの窒素汚染を引き起こしている。
持続可能な窒素利用を日本で達成するため、国際貿易を含む日本国内の全ての人間活動と環境(エネルギー、製造産業、作物生産、森林、沿岸域など14項目)を対象に、15年間の窒素収支を算定した。
人間活動に伴う廃棄窒素の発生量は年間526〜609万tでほぼ横ばい。そのうち反応性窒素として環境に排出されたのは年間186〜229万tで減少傾向。農業由来の排出量は年間66〜81万tで、総排出量に占める割合は35%前後で推移。また34〜41万tが水質汚染や富栄養化の原因となる硝酸態窒素などの水域への排出で、15年間で微増傾向。
国民1人当たりでは年間41〜48kgで、同時期の世界平均(22〜23kg)の約2倍。

参考リンク:国立環境研究所