養殖ノリの全ゲノムを解析。
養殖ノリの9割以上を占める「スサビノリ」を中心に、有明海等で養殖されている品種や養殖場周辺の野生種計39種類の全ゲノム(遺伝情報)を、佐賀大学の研究チームが解析。
養殖ノリは10月〜3月の海水温が育成に適した温度(23度以下)であることが重要だが、地球温暖化の影響で海水温が上昇すると、その期間が短くなり収穫量が落ちる。また、増殖したプランクトンが海中の栄養を奪うことでノリに栄養が行き渡らず、ノリの色が落ちる「色落ち」などの品質低下も招く。
ノリの葉緑体、ミトコンドリア、核にあるゲノムを詳細に解析した結果、日本で養殖されている品種や養殖場周辺の野生株が遺伝的に非常に似ていることが判明。これらを用いて新品種開発を行っても、今後の気候変動に耐える画期的な新品種を作出することは難しく、戦略の転換が迫られる。
今後は、ノリの栽培化に係る遺伝子の同定を行う。遺伝子の同定ができれば、多種多様なノリの仲間から耐熱性のあるものを選び出し、ゲノム編集で栽培化するといった研究が行われる。
参考リンク:プレスリリース(佐賀大学)