水田とその周辺の気温を見積もる。大気−水田生態系結合モデルを使ったシミュレーションで気温上昇を推定。

水田には周辺地域の気温上昇を緩和させる効果があるが、空気中の二酸化炭素濃度が上昇すると、その効果が薄れる。これまでは二酸化炭素濃度と気温上昇の関係を数値化できていなかったが、新たに開発された「大気−水田生態系結合モデル」を使ったシミュレーションで、気温上昇の程度を推定した。

稲は光合成の際に気孔を開いて水分を蒸散させ、この気化冷却が気温上昇を抑える働きをする。空気中の二酸化炭素が増加すると、気孔の開き具合が小さくなり、蒸散が減るため抑制効果が薄れる。
農研機構と北海道大学の共同研究で開発された数値モデルを使い、水田、畑地、市街地、森林など様々な土地が混在する数百km四方の、地上面から上空1kmの大気層までの気象環境をシミュレーションした。現在の二酸化炭素濃度(400ppm)では市街地より水田の気温は2度低いが、約半世紀後には倍増(800ppm)し、その際水田で平均0.44度、市街地で0.3度程度上昇した。これは、現在の二酸化炭素濃度の場合、水田の面積がおよそ1割減少した時と同等となった。

参考リンク:農研機構