ナミハダニの卵を防除する、植物油の効果を解明。

150種以上の農作物を加害し、薬剤抵抗性が発達しやすい重要害虫ナミハダニの卵を植物性の油で防除する仕組みを、東京農工大学大学院を中心とした国際研究グループが解明した。

ハダニ類に対しては植物性の油を有効成分とした農薬があり、卵の表面に油が付着して気門をふさぐことで、孵化前の幼虫の呼吸を阻害するとこれまでは考えられてきた。
電子顕微鏡による観察では、薬剤を散布された卵は孵化直前まで成長するため、呼吸阻害以外の要因で孵化を防ぐと考えられた。そこで着色処理した農薬を用いて観察したところ、孵化直前の卵の中に油の成分が侵入することが判明。幼虫は孵化の際、卵の中で体を回転させて卵を割って出てくるが、油によって回転運動が阻害され孵化に至らないことが分かった。
ハダニの天敵生物であるミヤコカブリダニの卵は、孵化のメカニズムが異なるため油を有効成分とした調合油乳剤を散布しても影響を受けないことも判明。両者の併用は可能とみられる。

参考リンク:東京農工大学