施設野菜の授粉に使うセイヨウオオマルハナバチから在来種への転換進まず。
トマトなど施設野菜の授粉に使われる「セイヨウオオマルハナバチ」は、2006年に特定外来生物に指定。政府は「クロマルハナバチ」など在来種への転換を推進しているが、現状では普及が進んでいない。
セイヨウオオマルハナバチを授粉に使用するためには、環境省の許可が必要。本州・四国・九州では2019年9月以降は新規の飼養が許可されず、規模拡大には理由書などの添付が必要。2022年4月からは飼養数を増やすことも認められなくなるため、在来種のクロマルハナバチへの転換が求められる。また北海道や奄美大島以南に自然では分布しておらず、クロマルハナバチは利用できない。北海道ではエゾオオマルハナバチを利用するための開発が進められているが、まだ実用化に至っていない。
クロマルハナバチは販売額、授粉効果などはセイヨウオオマルハナバチと同水準だが、利用面積は増えず横ばいで推移。転換が進まないのは、セイヨウオオマルハナバチと比べクロマルハナバチは訪花性が劣るといった評判が立ち、以来セイヨウオオマルハナバチの方が授粉昆虫として優れているという利用者の先入観を払拭できていない点が挙げられる。2020年の出荷量を2015年の半分に減らす目標を設定しているが、現状のペースでは目標達成は困難との見通し。
参考リンク:農林水産省