水稲の「初冬直播き栽培」、実用化に向け前進。
通常春に作業する水稲の直播きを降雪前に行う「初冬直播き栽培」。低コストで農作業の省力化を実現する技術として2018年から岩手大学を中心にした研究グループによる実証実験が開始。2年目に入り実用化へと前進した。
農家の高齢化や担い手不足が危惧される中、直播栽培などの省力化技術が重要となるが、コメの主要産地は北海道、東北、北陸などの降雪地帯が中心で、雪解け後の短い春に代かきや田植えなどの作業が集中するため、一層の省力化が求められる。
岩手大学を中心に全国11の研究機関と3つの生産者からなる研究グループは、10月〜12月の降雪前に種籾を直播きしそのまま越冬させる初冬直播き栽培の実証実験を実施。播かれた種籾は春に出芽、そのまま生育される。従来の春に播く場合と比べ播種期間を長く取ることができ、農作業を分散できる。
実用化に向けての課題は出芽率。春播き(70〜80%)と比べると平均で約25%と低いが、10aあたりの収量は約500kgと春の直播きに相当。今後は出芽率を35%まで引き上げ、実用化にめどをつける。
参考リンク:科学技術振興機構(新技術説明会)