新型コロナ拡大で食料生産国、自国優先し輸出制限。
世界規模で感染が広がる新型コロナウイルスは、食料貿易にも影響を与え始めている。国連の食料農業機関(FAO)、世界保健機関(WHO)、世界防衛機関(WTO)の事務局長は連名で食料安全保障や食料貿易と新型コロナについての共同声明を発表。食料安全保障が国際貿易に依存している現在、各国の新型コロナ対策によって食料貿易と安全保障に影響を与えないよう輸出制限などを行わず協調する必要があると呼びかけた。
すでに一部の食料輸出国では、輸出制限の動きが出てきている。世界最大のコメ輸出国インドと3位のベトナムでは、国内価格の上昇を避けるため輸出を規制。インドでは小麦も制限。小麦で世界最大の輸出国ロシアも、国内供給を優先。通常無制限の輸出量に上限(4〜6月で700万t)を設定。カザフスタン、ウクライナでも小麦の制限を検討している。
西側の主要穀物輸出国であるアメリカ、カナダ、オーストラリア、欧州各国は輸出規制に否定的。G20は、緊急会合で新型コロナの終息まで貿易制限を回避、国際的な物品供給を保つ点で一致。長期的には人の移動制限で農業労働者の確保や食料品の市場への出荷が困難になり、農業生産と供給のリスクが懸念される。