ダイズ根圏に殺虫成分を発見。作物生産に活用が期待される。
植物の根から影響を受ける根の近くにある土壌=根圏は、土壌の中でも特に微生物が多く存在する。根圏には植物や微生物が生産する様々な代謝物(根圏ケミカル)が存在するため、根圏の微生物のコミュニティー(根圏微生物叢)は植物の育成に密接に関係する。
根圏で行われる代謝の働きは、代謝物の土壌中の含有量が微量で不安定であり、また抽出されにくいため十分な解析が難しかった。この根圏の土壌解析を京都大学の研究チームが行い、殺虫性物質「オカラミン」を発見した。
オカラミンはペニシリウム属のカビをオカラの上で培養したときに得られる殺虫活性物質。マメ科植物のヘアリーベッチを栽培後の土壌に、微量なサンプルで代謝物を解析できる「メタボローム解析」を行ったところ、自然界で初めて発見。さらに、ヘアリーベッチとダイズを11年間輪作で生育したほ場では、ダイズの根圏から殺虫活性を有する濃度でオカラミンが検出。ヘアリーベッチが土壌に残したオカラミンやオカラミン生合成微生物が遺産としてダイズに受け渡され、ダイズの育成に有利な環境を作っている可能性が考えられる。
オカラミンは殺虫活性の高い化合物。今後も研究を続け、植物育成にオカラミンがどう関係するかを明らかにし、持続型農業に役立つ技術の開発を目指す。