ウンカ発生調査を、AI自動認識で時短する技術。
これまで熟練した専門家が時間をかけて目視で行ってきたイネウンカ類(トビイロウンカ、セジロウンカ、ヒメトビウンカ)の発生量調査を、ウンカを自動認識しカウントするAIを用いることで大幅に時間短縮できる技術を開発。
イネの枯死、育成抑制、ウイルス病の媒介となるイネウンカ類は「指定有害動物」として、全国で発生状況が調査されている。調査は全国3,000地点の水田で月2回以上、予察灯やトラップなどの定点調査に加え、粘着剤を塗った調査版をイネの株元に置き葉や茎についている虫を叩き落とし、目視で確認・カウントする方法で行われる。
目視調査は、3種のイネウンカ類を成虫の雌雄や幼虫の成長度合いなどによって全部で18に分類する。分類・計数には熟練した専門家が必要で、付着した虫が多い場合には調査版1枚に対し1時間以上の時間がかかる。
2年間で熟練者が判別した約1万6,000枚の調査版を画像にしてAIに学習させ、自動判別できるプログラムを開発。搭載したパソコンを使うことで、熟練者と同等の精度の分類を3〜4分以内で処理することができる。この技術は調査労力の軽減、迅速な調査、認識精度の均一化ができ、害虫の的確な防除や被害派生の予測に役立つ。
今後は実証実験で完成度を上げ、全国に普及させるとともに、粘着シートを使った他の害虫調査でも利用できるよう、研究をすすめる。
参考リンク:プレスリリース(農研機構)