不稔をもたらす「イネカメムシ」の発生地域が再拡大。
イネの不稔をもたらす害虫「イネカメムシ」の発生地域が拡大している。1970年代以降、被害が下火だったが、2010年代には茨城県南部を中心に発生。ここ2、3年は関西以西で被害が増加している。
イネカメムシは斑点米カメムシ類の一種。一般的な斑点米カメムシはもみを吸汁し黒い斑点を残すなどして品質を下げるが、イネカメムシは幼いもみの基部や基部の茎を吸汁し、もみの成長が阻害され、不稔による減収を起こす。1970年代まではイネの主要害虫だったが、70年代以降は目立った被害報告がなかった。
近年、水稲経営の規模拡大に伴い、早生から晩稲まで多品種を栽培する経営が増え、餌となる幼穂が水田に長く存在するようになったことが要因とみられる。また、育苗箱処理剤の普及により本田での農薬散布が減ったことも一因に挙げられている。
長期間にわたり発生が少なかったため、水田に飛び込む前に潜んでいる場所が不明など、他の斑点米カメムシ類に比べ生態に不明な点が多い。農薬は一般的な斑点米カメムシ類用のもので効果があるが、どの薬剤をどの時期に撒くと効果的か、などこれから調べることは多い。防除体系の確立にはまだ検証が必要となる。
参考リンク:農研機構