ブドウ果柄からがん細胞増殖を抑制する新規化合物。

信州大学と株式会社サンクゼールの共同研究グループは,ブドウの果柄に含まれる、がんの転移促進遺伝子であるFABP5の発現とがん細胞の浸潤を大きく抑制する新規化合物を特定した。
ブドウや小豆などには、お茶に多く含まれるポリフェノールであるエピカテキンが複数繋がった構造を持つエピカテキンオリゴマーが多く含まれる。この化合物群はプロアントシアニジンと呼ばれているが、これまでこれらの化合物を, 食品素材から純粋に分離精製することは困難だった。研究グループはこれらの化合物の精製法を開発し、また、ブドウ果柄由来の抽出物にFABP5の発現を抑制する成分が存在することを見出し、活性成分の単離・精製と推定構造の決定を行った。
さらに研究グループは、前立腺がん細胞を用いて精製した活性成分の抗腫瘍活性を詳細に調べた結果、活性成分はFABP5の発現を抑制するだけではなく、がん細胞の増殖や浸潤を顕著に抑制することも明らかにした。
ブドウの果柄はいわゆる食品残渣であり,廃棄物として扱われてきたが、今後, これまで処分されていたブドウ果柄の新たな活用法として、がんの予防法の開発に繋がる研究が期待される。