昆虫の幼若ホルモンを抑える化合物を、効率的に探索するシステムを開発。

幼虫である期間を正常に維持するために必要な昆虫固有のホルモン「幼若ホルモン(JH)」の働きを抑えることで発育不全にさせる化合物(抗JH活性化合物)を効率的に探索するシステムを、農研機構が開発。このシステムにより、特定の昆虫にのみ効果がある薬剤開発の加速化が期待できる。

害虫がもたらす農業被害のほとんどが幼虫の時期であり、脱皮などを重ねて成長した幼虫ほど摂食量が大きくなる。このため、害虫の幼若ホルモンを抑える化合物を発見、若い幼虫に対して処理することができれば、幼虫は発育が十分でないままサナギになる、もしくはサナギになれないまま発育不全にすることができる。幼若ホルモンは昆虫の種類によって化学構造に違いがあり、特定の昆虫の幼若ホルモンを狙った化合物を使用することができれば、特定の昆虫のみに効果がある農薬を開発することが可能になる。
システムの評価実験では、約1万ある化合物のライブラリーから約80種類まで候補を絞り込むことができた。候補化合物を基に新しい殺虫剤が開発されれば、殺虫剤抵抗性害虫による被害の軽減に大きく貢献できる。今後は、農薬メーカーや大学と共同で実用化に向けた研究を進めていく予定。

参考リンク:農研機構