法面の草刈りが年1回以下に。冬芝(ハードフェスク)で法面管理を省力化。
冬芝の中でも比較的耐暑性、耐旱性、耐陰性が高く、根張りが良く、道路法面などで広く利用されているハードフェスク。水田の法面にこのハードフェスクを繁茂させ、雑草を抑える技術を、鳥取県農業試験場が開発し、主に中山間地域での普及を進めている。稲刈り後に既存の雑草を除草剤で駆除した後に播種し、芝への影響が少ない抑草剤散布と組み合わせることで、雑草の発生抑制と草刈りの回数を年1回以下に抑えることができ、多年生なので基本的に翌年以降の播種は必要ない。導入費用が安く済むのも特徴。1,000平方メートルに必要となる種子は15kgで3万5,000円程度。除草剤と抑草剤は1万2,000円ほどで済む。また、播種に専用機器は不要で、手で播いた場合は12時間ほどで完了する。鳥取県には中山間地域に水田が多く、これまでセンチピークドグラスの芝生畦畔が普及していたが、これは施行時期が田植えと重なるうえ、主な生育期間である春夏は雑草の生育も早い時期ということもあり、管理の労力負担が大きいことが課題だった。
ハードフェスクは、他の芝に比べると表面が滑りやすく、やや歩きにくいなどの欠点があるため、大きな法面では中間に足場を設けるなど安全確保の工夫が重要となる。今後は、センチピークドグラス導入前に播種するなどして草種を組み合わせた施行方法などへの展開が期待される。