過去27年分の世界の穀物干ばつ被害分析マップから、総被害額は18兆円と推計。

近年、気候変動にともなう異常気象の出現が増加傾向にあり、異常気象の中でも、「干ばつ」が世界の穀物生産への悪影響がもっとも大きいといわれている。しかし、干ばつによる穀物生産被害の詳細な地理的分布は不明だった。農研機構は、降水量と穀物収量データを解析し、世界で初めて、50kmメッシュの高解像度で、干ばつによる世界の穀物生産影響（被害）の地理的分布をマップ化した。
過去27年間（1983～2009年）に1回以上の干ばつで収量被害を受けた穀物の栽培面積は、コムギ1.61億ha（世界の収穫面積の75％）、トウモロコシ1.24億ha（同82％）、コメ1.02億ha（同62％）、ダイズ0.67億ha（同91％）。また、1回の干ばつによる穀物収量減少率は、27年間の平均で、コムギ8％（1haあたり0.29t）、トウモロコシ7％（同0.24t）、コメ3％（同0.13t）、ダイズ7％（同0.15t）だった。
今回得られた穀物生産被害量と国別の生産者価格（2005年）から見積もった過去27年間の総生産被害額は、約18兆円と推計された。