中山間地等直接支払制度、要件緩和しても64万haを割り込む。

2020年度の中山間地域等直接支払制度による交付面積が、交付金の返還要件が緩和されたにも関わらず、前年比-4%の63万8,911haとなり、19年ぶりに64万haを割り込む低水準になった。

過疎化・高齢化が進む中山間地域での農業生産維持を図る目的で、対象となる地域ごとに協定を結び、面積に応じて一定額を交付する「中山間地域等直接支払制度」。2000年から実施され、5年毎に制度の見直しが行われる。第5期の初年にあたる2020年度では、対象農地の一部でも耕作放棄されれば前農地の交付金を返還する仕組みを、耕作放棄分だけを返還対象にするなどの要件緩和を行った。
交付金は、「農業生産活動等を継続するための活動(基礎単価)」では単価の8割、「体制整備のための前向きな活動(体制整備単価)」を加えることで単価の10割を交付。これまで10割交付の条件は、機会・農作業の共同化など3つの要件から1つを選択する必要があったが、5期からは「集落戦略の作成」に一本化した。
要件緩和により、10割単価の対象が58万3,560ha(+0.5%)と伸びたが、8割単価は5万5,352ha(-30%)と激減。10割交付を受ける協定の策定率も7%と低迷している。

参考リンク:中山間地域等直接支払制度(農林水産省)