ドイツの昆虫保護に向けた政策。

27年間で75%以上減少した昆虫を保護するために、ドイツは包括的政策パッケージ「昆虫保護行動計画」を策定。「昆虫保護法」など法制度の整備とともに、社会のあらゆる分野での昆虫保護の取り組みを支援、促進する。

植物の花粉を媒介するミツバチなどの昆虫は、他の昆虫や動物の食物資源でもあり、また有機物の分解、水域の浄化や土壌の維持に関わるなど生態系の基盤となる。昆虫の減少は、環境に直接的な影響を及ぼし、大きな経済的リスクをもたらすと考えられている。
昆虫保護行動計画では、保護のため9つの行動分野とその対策を策定。
(1)休閑地、畑地の畦、生け垣など昆虫の生息地の設置など、「昆虫に優しい農業景観」の改善。
(2)農業景観以外でも昆虫生息地を再生保全し、全国規模でのビオトープネットワークを構築。
(3)保護されるビオトープのリストに、昆虫保護に重要なビオトープタイプの追加。
(4)グリホサートなど農薬を2023年までに廃止。自然保護地域での植物保護剤、殺生物剤の廃止。
(5)汚染物質排出源地域からの窒素流出削減など土壌・水域への汚染負荷のさらなる削減。
(6)昆虫に優しい光源への切り替え促進など光害の低減。
(7)昆虫保護を効果的にする調査研究のため、ドイツ全土を対象とした昆虫モニタリングシステムの構築。
(8)農業景観における昆虫保護対策として年間1億ユーロ(約130億円)の資金を準備。
(9)全国コンクール「昆虫に優しい市町村」の実施など昆虫保護活動の社会参加を促進。

参考リンク:ドイツ連邦環境・自然保護・原子炉安全省(ドイツ語)