線虫の誘引物質が特定される。

農作物に被害を与える植物感染性線虫「サツマイモネコブセンチュウ」の誘引物質の特定に、熊本大学などによる研究グループが世界で初めて成功。

これまで、経験的にトマトやイネなど様々な植物の根に線虫が寄生することは知られていた。また、ジャガイモなどの根の浸出液にもセンチュウが誘引されることも知られていたが、その実態は不明だった。
実験では亜麻の種子の浸出液を精製したものを使用し、細胞壁の成分「ラムノガラクツロナン-I（RG-I）」にセンチュウを誘引する効果があることが判明。更に詳しく調べると、RG-Iにある糖「ラムノース」と「L型ガラクトース」が重要な役目を担っており、この2糖を人口合成した合成糖にも効果があった。L型ガラクトースは植物に特有の糖で、センチュウはこの糖を認識することで土の中で効率的に標的の植物を見つける事ができると考えられる。
特定された誘引物質は植物に含まれる天然成分のため、これを基に開発が期待される線虫トラップ剤は農業従事者の健康被害や環境被害もないと考えられ、持続可能な環境保全型農業に貢献できると考えられる。

参考リンク：熊本大学