福島米、安全性への理解。
東日本大震災から10年。いまだ帰還困難区域を抱える福島県では、風評により農林水産物の売上は震災前を下回っている。
県内産米は2019年産まで全量全袋検査を実施していたが、通算5年間で基準値超過がなかったため、2020年産米からは避難指示等のあった12市町村を除き、旧市町村ごとの抽出検査(モニタリング)に移行した。
放射能の風評被害に関し、福島県消費者団体連絡協議会は2012年から福島県民などを対象に「食や放射能、風評に関する意識調査」を実施。米の全量全袋検査に関する設問では、「検査も検査結果も知っている」が65.1%、「検査は知っていたが検査結果は知らない」が30.2%、「検査も検査結果も知らない」が4.7%と高い認知度となった。今後の検査については、「米を作っている農家ごとにサンプル検査」を望む声が高く(32.8%)、次いで「市町村単位で、サンプルを選んで検査」(29.6%)、「これまでどおり、全て検査」(23.0%)となった。2017年の調査では「全て検査」の回答が66.2%あったが、大幅に減少した。
また放射線による健康影響が確認できないほど小さな低線量のリスクをどう受け止めるかとの設問では(1)「基準値以内であっても受け入れられない」が10.8%、(2)「現在の検査体制の下で流通している食品であれば受け入れられる」が52.2%、(3)「ことさら気にしない」が29.2%、(4)「十分な情報がないため、リスクを考えられない」が6.4%。同じ質問を消費者庁も全国で調査しており、(1)が14.6%、(2)が34.5%、(3)が18.5%、(4)が31.8%で、福島県と他地域で情報への感度に差があることがわかった。