植物に免疫機能を与える技術の開発が進められる。

農薬(病害虫抵抗性誘導剤)を入れた微粒子を植物の葉面に散布することで、植物に潜在的な免疫機能を与える「植物免疫プライミング技術」の開発につながる基礎研究を、名古屋大学・岡山県農林水産総合センター・三洋化成が共同で開始。

植物が生来備えている免疫力を高め、病害虫を防除する次世代の農薬「病害虫抵抗性誘導剤(プラントアクティベーター)」は、従来の農薬と異なり生態系への影響や環境負荷が少なく、病害虫が耐性を持つこともないが、植物の種類や処理方法などにより生育不良などの薬害を引き起こす。そのため、現時点では薬害が少ないイネなど一部の作物での実用化にとどまっている。
病害虫抵抗性誘導剤は、用量が多ければ薬害が生じ、少なければ効果がないと考えられており、適切な用量の場合、病害虫から攻撃を受けたときのみ抵抗する潜在的な免疫機能を与えることができると期待されている。
この適正な用量を探るため、生分解性ナノ粒子に病害虫抵抗性誘導剤を入れ込み、少しずつ薬剤を放出する技術を開発。今後、このシステムを用いて基礎研究を進め、3〜5年後には応用研究から開発研究へと進め、実用化を目指す。

参考リンク:プレスリリース(三洋化成)