7,582カ所のうち4,033カ所で耐用年数を超過。農業水利施設の老朽化進む。
農業の用排水に使われる受益面積が100ha以上の基幹的な施設を対象に調査した7,582カ所のうち4,033カ所で耐用年数を超過していることが分かった。
農水省が定めている標準的な耐用年数は、ダムやため池などの貯水池80年、取水堰50年、水門30年、用排水機場20年、施設の管理設備10年。耐用年数を超過している施設4,033カ所を種類別に見ると、用排水機場は全体の75%にあたる2,208カ所、水門は同71%の789カ所、貯水池は同10%の126カ所。過去10年で耐用年数超過施設の割合は12%の上昇となった。施設の老朽化により、漏水など経年劣化による事故件数は増加傾向で、2018年度では1,109件発生している。
農業水利施設のうち、基幹的なものは国や都道府県が建設するが、耐用年数を超えた施設の再建設には5兆円。今後10年間ではさらに増え約8兆円に達すると見込まれる。また、多くの地域で施設の維持管理を担う土地改良区で高齢化が進み、施設の維持管理に支障が出る恐れも。そのため、今後はドローンを利用して施設の写真を撮影、AIで診断するなど、機能診断の効率化を目指す。
参考リンク:農林水産省