環境汚染を減らすトウモロコシの「MBOA」の同定に成功。

トウモロコシの根から産出される「生物的硝化抑制(BNI)」の鍵となる物質、
「MBOA」の同定に成功。
窒素肥料を削減できる「BNI強化トウモロコシ」の開発が期待される。

トウモロコシや小麦などの農地に施肥された窒素肥料の50%以上は、作物に利用されずに農地外に流出する。この原因は、窒素肥料成分のアンモニア態窒素肥料が土壌にいる硝化菌により酸化し硝酸態窒素となる(硝化)ため。硝酸態窒素は地下水と共に流出し水質汚染の一因となる。硝化の際に温室効果ガスの亜酸化窒素が排出される。
トウモロコシの根から分泌されるBNI物質は疎水性(水に溶けにくい)のゼアノンとHDMBOAの2種類。このうちHDMBOAは土壌中で親水性(水に溶けやすい)のMBOAに変換される。MBOAは土壌で広範囲に浸透し、硝化菌の増殖と硝化を強く抑制する。MBOAの同定により、トウモロコシのBMI発現メカニズムが明らかになった。
これらの得られた知見により、今後はBNI物質の分泌メカニズムの解明、圃場試験などを通じ、BNI強化トウモロコシの開発を行い、環境負荷を軽減したトウモロコシ生産システムの開発を推進する。

参考リンク:プレスリリース(国際農研)