マダニが媒介する感染症「SFTS」、10年で被害拡大。
一部のマダニが媒介する感染症「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」が国内で初めて確認されてから10年が経過。西日本を中心に、北陸や関東に感染が拡大。
2013年からの10年間で感染者は30都府県847人。うち3割が死亡。
ワクチンは開発途上にあり、治療は対症療法のみ。
SFTSは、フタトゲチマダニ、タカサゴキララマダニのうちウイルスを保有しているマダニに咬まれることにより感染。近年では、SFTSに感染した猫や犬などに咬まれる、直接触れるなどして感染した事例の報告もある。
潜伏期間は6〜14日。発熱、頭痛、嘔吐・下痢などの消化器症状や意識障害を発症。血小板や白血球の減少、血清酵素の上昇があり、高齢者では重症化する傾向がある。致死率は10%〜30%。
2013年に狂犬病やマラリアと同じ感染症法の「4類」に指定された。
10年間で感染が確認された847人のうち最多は宮崎県の102人で、次いで広島県(75人)、山口県(68人)、高知県(67人)、鹿児島県(66人)、長崎県(62人)など、9割超が西日本。近年では富山県、東京都、千葉県でも感染者が確認されている。
マダニは野山や農地、イノシシなど野生生物に寄生しており、農作業中の感染が53%を占めるため、作業時には肌の露出が少ない衣服を着るなどの対策が必要。